『メイドインアビス』8巻の簡単な感想です。
全ての始まり
ヴエロエルコは星の羅針盤を見ながら男に飼われていた日々を思い出していた
男が羅針盤を手に入れた話はよく聞いていた。「この羅針盤が屹立するところにそれはある」
その言葉の場所、『黄金郷』を信じヴエロエルコはただひたすら準備をした。あの男の声が消えてくれる場所へいけるように
そして黄金郷を目指す決死隊『ガンジャ』は結成された
そこには後の三賢者になる隊長の『ワズキャン』
美しい眼の持ち主『べラフ』がいた
黄金郷へ到着
嵐にも耐え遂にガンジャはアビスへ辿り着く。
隊が進んでいくと先住民族がおり、羅針盤を差し出せば情報を提供すると交換条件を出してきた。
ヴエロエルコは羅針盤を渡し、情報を手に入れた隊はアビスへ進んでいく
だが道中で先住民の女の子がついてきてしまう
名は『イルミューイ』
ワズキャンは「道案内に困ってたんだ、心強いよ」と同行を許可する
このイルミューイが後に皆を救う重要な人物になるとは知らずに。
アビスの呪いや住まう動植物、超常の遺物に触れながら遂にガンジャは黄金郷へ到着する
そこで出迎えたのは『干渉器』という古くからアビスにいる人形達だった
問題となった水分を確保したガンジャは犠牲を出しつつ、黄金都市で生き抜く方法を身につけていった。
そんな中イルミューイはガンジャ達の言葉も覚え、ヴエロエルコを母親代わりに甘えていた。
イルミューイは子供が出来ない事がわかり、村から呪いの子としてアビスに返されたと泣きながら話す。
ヴエロエルコはそっと「離したりしないよ」と抱き寄せるのであった。
狂気の始まり
朝、いつも通りヴエロエルコがイルミューイを起こしに行くと下痢をし苦しそうな表情、そして他の隊員達にも異常が起きていた。
今まで飲んでいた水は、水の形をした生物だった。その生物による浸食が進むと岩のように体が変化してしまう。
危機的状況のなか異形になって帰ってきた食料調達員はある物を持ち帰ってきた
干渉器に聞くとそれは『欲望の揺籃』と呼ばれる遺物であった
続けて干渉器は「君たち風に言うと『願いを叶える卵』だ」と話す
直に触れるだけで取り込まれてしまうほど強い遺物
思考が雑多で複雑な成人は適していなく、まだ細かい事を考える力がない純粋な子供のほうが上手く使える
日に日に蝕まれる隊員、イルミューイを見てヴエロエルコはワズキャンに『欲望の揺籃』をイルミューイに使ってみてはどうかと提案する
そして預言者とも言うほど神がかった先見の明を持つワズキャンは使用を許可する
『欲望の揺籃』をイルミューイに使用してから、イルミューイの体調は奇跡的に回復していた。
その反面身体はイルミューイが願った何かに進化するように崩れていった。
少女の純粋な願い
ほぼ崩れ別の物に進化していくイルミューイ
ある日、ヴエロエルコはイルミューイの絶叫で目が覚める
急いでイルミューイの元へ向かうヴエロエルコ
崩れかけたイルミューイは大事そうに何か動く物を大事そうに持っていた
「みて、ヴエコ、ほら・・・ほら・・・あかちゃん」
そうイルミューイは呟くのであった
産まれた『子供』はすぐに死んでしまう。
だが人間であった原型も留めず異形になってしまってからも毎日イルミューイの元から産まれてくる
これが彼女が何かに願った形なのだろうか
そう考えていたヴエロエルコにも遂に病気が発症してしまう
死を考えていたヴエロエルコの口元に香ばしい肉のようなスープが運ばれてくる
それはワズキャンが『子供』達を解体して手に入れた肉であった
『子供』達の肉を食べると不思議と蝕んでいた病気が回復していく
地獄の日々が続く中、異形となったイルミューイは巨体を動かし外へ移動していく
そこで様々な生物を取り込んでいくなか、皆が狂気にそまっていくなか只一人気高く後悔しながら生きながらえていたべラフは叫ぶ
イルミューイの中に入っていくべラフは瞬間八つ裂きにされてしまうが、取り込まれた後に異形の形として身体は変貌していた
そしてワズキャンは言う
「ここが我々が目指した場所、どんな黄金よりも価値のある我々の故郷だ」
ガンジャの隊員達がイルミューイに取り込まれる中ヴエロエルコはイルミューイとの思い出を守るため自殺を図る
だがそれは阻止される。彼女の自殺を止めたのは内密に『欲望の揺籃』を自らに使用していたワズキャンであった
イルミューイの深部で繋がれるヴエロエルコは異形となったワズキャンと会話する
ヴエロエルコはそこで生まれてくる予定だった『子供』達にイルミューイの代わりに名前をつけていく
その頃イルミューイの隠していた最後の願いが外で産まれる
それはイルミューイに使われた卵、密かにワズキャンが入れた卵、ワズキャンと一緒に取り込んだ卵、3つの『欲望の揺籃』を元に産まれた『最後の子供』
持っているのは母親、兄弟達の無念、憎しみ、怒りであった
『最後の子供』は母親の元を離れた後故障していたある一体の干渉器と出会う
その干渉器を修復しながら言葉を覚えていく
直った頃に干渉器は「ファウは尊い娘、アプタは不滅のもの永遠を表す、果てぬ姫君ファプタだ」と『最後の子供』と名づける
すると『ファプタ』は女王の守護者という意味の『ガブールン』と干渉器に名づける
姫と守護者の『価値』を探す日々が始まる
感想
今巻はやばい!新事実が判明しすぎて頭がついていかない!
落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない
8巻の驚きポイント
- 三賢の人間時代(べラフ&ワズキャン)
- リコとヴエロエルコが持っていた羅針盤
- 成れ果ての村の言語&村人が異形になった理由
- ヴエロエルコが囚われていた理由
- 価値の意味
【1】
これが一番驚いた。今はあんな異形なので人間時代の姿は見当もつきませんでしたが、意外にイケメンだったとは。
べラフは取り込まれた後だと髪の感じとか面影がありますね。ワズキャンは「イエーイ」とかの言葉以外的には全然わからん。
そしてワズキャンの異常な精神力。恐ろしい。
【2】
リコが川で流してしまいましたが、8巻でアビスを指しているものだとわかりました。
あそこまで大事にしていて、表紙にもアニメOPとかにも出ているので重要遺物だと思ったのですが、今後どう出てくるか。アビスを指してましたおわり、ではない気がします。
【3】
これが今巻の肝ですね。なぜ成れ果てているのか、これが還らずの都にきてから疑問に思っていた事なので驚きまくった。
その過程がほんと泣ける。欲望の揺籃を使用してイルミューイが願ったのは「子供が産みたい」だったのですね。ヴエロエルコ達は「この感染が治りますように」とかイルミューイが願うと思ったのでしょう。
ですが結果子供たちの肉を食べると症状が落ち着いたとあるので、その辺もある程度カバーされているんでしょうか。
言語もそうですが、全く見当もつかない事が蓋を開けるとよく理解できたので、つくしあきひと先生の設定が本当にすごい。
【4】
あそこまでイルミューイとシンクロしていたヴエロエルコなので彼女を安定させる為に囚われていたのでしょう。
囚われているといっても、ヴエロエルコは生まれなかった子供たちの世話(?)で忙しそうなので案外大丈夫そうですが。
清算の際に出てくる黒い触手はこの子供たちなのでしょうか。
皆イルミューイの身体の中にいるという事なので人間でいうと白血球などの細胞に近いのかな。
【5】
成れ果ての村のお金に描かれていた模様やリコ達が還らずの都に来てからファプタが書いた謎の記号の意味がわかりました。
それ程までにレグの価値は尊いものなのか。
このメイドインアビスでは遺物という非現実的な物を利用していますが、蓋を開けてみれば「あー、なるほどね」と簡単に理解できることが多い。
今巻で省略する事なくすらすらと伏線を回収するこの気持ちよさは本当にすごい。
それ程までに後付け設定ではない元の構想がよく練られた作品という事を改めて認識した巻でした。
どこぞの超有名忍者漫画の最終決戦の時のような新しい登場人物が出れば回想シーンといった流れは飽き飽きしている。
今巻のせいで次巻がほんっとうに待ち遠しい!
欲望の揺籃を使って早く新刊を!